団体設立の経緯 – About Us –

趣旨meaning

近年の新生児医療の発達により、人工呼吸器、経管栄養などの医療的ケアを受けながら生活している子どもたちの数が急増し、全国で18,000~19,000人いると言われています。

医療的ケア児が、NICUやGCU等での長期入院から、家族の待つお家での生活に移るとき、多くの場合は家族による24時間ケアが行われます。医療的ケア児を預かってくれる保育園は数えるほどであり、母親がそれまで仕事に就いていた場合も退職し、子どものケアにあたることが多いです。また父親も、子どもの手術、入院などの生活の変化、きょうだい、家庭のことなどを、自分の仕事とのバランスを取りながらぎりぎりのラインで日々を過ごしていることが多いです。子どものケアのために、転職せざるを得ない状況に追い込まれる場合もあります。厚生労働省の平成29年度の「国民生活基礎調査」では、働く母親の割合が7割を超えており、両親が共働きでないと経済的に厳しい家庭も多い中、医療的ケアを必要とする子どもをお家で育てていくことで、経済的に不安定になるリスクは非常に高いのです。さらに、子どもを入院先から家に連れて帰りたくても、経済的に成り立たないという理由から、子どもを施設に入所させなければならないという厳しく辛い選択をしなければならない家庭もあります。

また、厚生労働省の平成28年の調査では、医療的ケア児の介護者(主に両親)の約8割が、「介護、見守りのための時間的拘束に係る負担」について「負担感がある」「やや負担感がある」と答えており、さらに約4人に1人の介護者が、睡眠時間を「断続的に取っている」という状況でした。

医療的ケア児を在宅で24時間ケアをしながら育てていくことは、身体的、精神的、経済的にも、とても負担が大きいです。

このような状況の中、これまで見過ごされてきた医療的ケア児を取り巻く状況を、改善、支援していく方向性が、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」及び「児童福祉法」の一部改正によって示されました。地方公共団体が、医療的ケア児がその心身の状況に応じた適切な保健、医療、福祉その他の各関連分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制の整備について必要な措置を講ずるよう努めることとなり、平成30年4月に施行されました。地域での子どもたちと家族への支援体制は、ようやく整い始めたところです。

そこで、私たちNPO法人i-care kids京都は、医療的ケア児が通園できる小規模保育園を開設し、医療的ケアを必要とする子どもたちの保育を実施するとともに、家族支援のプラットホームとして機能することができる場所づくりを行いたいという思いから設立されました。

医療的ケアを必要とする子どもたちが一人一人の発達やニーズに合った保育を、専門家がそろった場所で安心、安全に受けることができる、お父さん、お母さんたちが当たり前のこととして、自分の仕事を続けることができる、家族は、必要な情報やつながりを得ることができ、専門家たちとの連携によって、子どもたちと家族を地域の”面“でサポートすることができる、そんなプラットホームとして機能していきたいと考えています。

メンバー紹介 – Member –

  • 代表 藤井 蕗(ふじい ふき)

    代表理事藤井 蕗ふじい ふき

    アートセラピスト・保育士・
    特別支援教育教員免許取得・医療的ケア児家族

    京都教育大学発達障害学科卒業後、ドイツ、スウェーデンにて障がい児・者の支援に携わる。2004年英国ハートフォードシャー大学大学院アートセラピー科修了。帰国後、医療法人にて発達障がい児、高齢者、緩和ケアの領域でアートセラピーを実践。二男・旅也が18トリソミーを抱えて生まれてきて、在宅移行する際に退職。著書「a life 18トリソミーの旅也と生きる」(クリエイツかもがわ出版)。自分自身の体験を通して、障害や病気を抱えた子どもを授かったとしても、お母さんたちが自分の仕事を続けられる社会にしたい、自分たちと同じような体験をしている子どもたちや家族たちのプラットホームとなるような場所を作りたいと考え、「i-care kids京都」を立ち上げた。

  • 理事長谷川 功はせがわ こう

    はせがわ小児科院長
    京都小児科医会 副会長

    京都における小児在宅医療の充実を目指して活動を続けてきました。子ども達とご家族の笑顔が少しでも増えることを願い、このプロジェクトに協力させていただいています。

  • 理事松井 裕美子まつい ゆみこ

    看護師・医療法人はるたか会
    訪問看護ステーションあおぞら 京都所長

    「ステーションを立ち上げ6年目に入り、のべ100名のご自宅に帰ってこられたお子さんに携わりました。まだまだ社会状況が整備されていない中、日々頑張っておられるご家族と関わり、少しでも暮らしやすくなるように何かしらのお手伝いが出来たらと参加させて頂きました」

  • 理事渡邉 彰子わたなべ あきこ

    保育士・小規模保育園開設経験者

    市営保育所の保育として23年間勤務。 そのうち5年間は児童相談所で勤務する。京都市を退職後、NPO法人の立ち上げから携わる。法人が運営する訪問介護事業所の所長として11年間勤務して退職する。現在、老人介護施設で働いている。藤井さんと出会い、保育園開設に協力していきたいと思った。

  • 理事古本 靖久ふるもと やすひさ

    日本聖公会桃山基督教会牧師
    学校法人桃山キリスト学園 桃山幼稚園園長

  • 理事奥村 由乃おくむら よしの

    小さく生まれた赤ちゃんのための肌着、医療的ケアグッズのススリレ代表
    医療的ケア児家族

    2011年に1153gという低体重で息子を出産した経験から、京都府立医大附属病院NICUにハンドメイドの肌着の寄付を始める。2017年小さく生まれてきた赤ちゃんのためのお洋服sousourireススリレを立ち上げ、小さいサイズの肌着やミトン・靴下だけでなく、医療的ケアアイテムなど可愛くてワクワクするアイテムの製作販売を行う。医療的ケアが必要な子どもたちとそのご家族のためのイベントにも力を入れています。

  • 理事深村 典子ふかむら のりこ

    医療的ケア児家族

    娘が染色体異常で産まれ、約1年間NICUでお世話になりました。その後も入退院をしつつも現在、在宅で楽しく過ごしています。娘は気管切開(痰の吸引)と人工呼吸器装着、食事は胃ろうからの注入と、日々の医療的ケアが必要です。藤井さんとは、旅ちゃんと娘がNICUで同じ時期を過ごしたご縁から、在宅に移ってからもたくさん支えていただきました。今回の保育園設立にむけて、私も少しでもお力になれたらと思い、理事をさせていただくことになりました。医療的ケアが必要な子どもや家族がもっと社会とかかわる機会や場所ができればと願っています。

  • 理事清水 千明しみず ちあき

    医療的ケア児家族

    我が家の二女は先天性心疾患、腎疾患などがあり気管切開をして人工呼吸器をつけてます。現在は沢山の人に支えてもらい在宅生活を送っています。私自身、娘が生まれてからそれまで長く続けていた仕事から一旦離れなければいけない状況になりました。医療的ケアが必要な子どもたちが、同年代のお友達と過ごす大切な時間を持てる、母親も望めば仕事をする事ができる、それが当たり前の社会になればいいなと心から願い、今回の保育園設立や家族支援の活動を少しでもお手伝いさせてもらえればと思っております。

  • 理事橋本 鮎美はしもと あゆみ

    医療的ケア児家族

    医療的ケア児を子に持つ母です。現在進行中で呼吸器・酸素・気管切開からの吸引・胃ろうからの注入と医療的ケアをしております。少しでも、皆さんの悩みを聞き、応援できたらと思いNPOに参加させて頂きました。

  • 監事嶋本 惠造しまもと けいぞう

    医療的ケア児家族

    娘は2005年生まれ。現在、支援学校中学部2年生。今のお気に入りはPerfumeのミュージックビデオを見ること。低酸素性虚血性脳症、ウエスト症候群、低緊張性四肢麻痺。医療的ケアを社会問題と意識し始めたのは2010年。1歳年上の男の子お友達が支援学校へ就学を希望した時、校長から「お母さんが付き添い」、「制度で決まっている」との言い渡された。3人兄弟のいるお母さんは困惑した。同じ手技の経管栄養だった私たち3家族が集まり家族会を結成し、市長や市議会に嘆願書を提出。ようやく市教委が動いた。市教委との折衝を経て男の子のお友達は単独通学できるようになる。医療的ケアの法律上の位置付けの曖昧さを痛感。2011年より医療的ケアを必要とする人たちの人権を守る活動に参加。医療的ケアシンポジウムへの企画や日本弁護士連合会の勉強会の講師などを行う。医療的ケアを必要とする人たちの未来のライフステージを創造する支援活動を続けていきたい。