現在キコレでは様々な食事形態のごはんを調理していますが、その中のミキサー食について今日はお話したいと思います。
ミキサー食とはその名の通り、食事をミキサーにかけてとろとろとした形態に仕上げたごはんです。
消化吸収機能には問題は無いけれど通常のごはんでは噛んだり飲み込んだりが難しい子どもや、胃瘻やお鼻からのチューブで栄養を摂っている子どもに向けて提供される食事形態となります。
ミキサーにかける際に料理によっては水分を足さないとうまくミキシングされないため、結果的に出来上がり量のかさが多くなります。そのため、キコレでは少量でも出来るだけしっかりと栄養補給できるように様々な工夫をしています。
●主食(ごはん・パン・麺類):ミキサーにかける際に、おかゆヘルパー
というでんぷんを分解する酵素(α‐アミラーゼ)を少量加えてからミキサーにかけています。そうすることにより、ベタベタしているでんぷん質がサラサラとした状態になり、水分を加える量を抑えることが出来ます。出来上がったものを他のおかずをミキサーにかける際のベースとしても使用しています。
●おかず:汁気の少ない物は、上記の主食で作ったベースやお出汁などの水分を加えてミキサーにかけます。繊維が多い食材は特にしっかりと時間をかけてミキシングしています。加える水分が多く必要な場合は、マヨネーズやミルク、油分などを足してカロリーアップをします。味も薄くなる傾向がありますので、味見をしながら元々料理に使用している調味料を少し足す場合もあります。
使用しているミキサーは、ミルサーという少量のミキサー食を作りやすい物です。ミキサーにかけた料理は全て、仕上げに茶こしとゴムべらで濾しています。どれだけ長くミキサーにかけても粒が残ることがあり、それが誤嚥や栄養チューブの詰まりのリスクとなるためです。
その後、粘度の調整が必要な子どもには料理によってはとろみ剤を加えて出来上がりです。
出来上がったミキサー食は、少しでも楽しい気分でごはんを食べて欲しいという思いで、盛り付けにも気を配っています。色々な食材が使用されている料理をまとめてミキサーにかけると一色に混ざってしまい見た目もよくありません。ほうれん草や人参などの鮮やかな食材は別でミキサーにかけるようにして、お皿に飾るように盛り付けることで、「美味しそうだな、食べたいな」と思ってもらえるように気を付けています。
ここまでキコレでの調理例をご説明しましたが、実際にミキサー食を食べたことのある方はご存じかと思いますが、実は見た目とは裏腹にミキサー食はとても美味しいのです。ミキシングすることで、素材の味や香りがしっかりと立ち、クリーミーな味わいになります。普通の食事形態と同じく、冷めると味は落ちますが、温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく用意するとミキサー食はとても美味しく食べることが出来ます。
いつも心がけているのは、『みんなで同じごはんを楽しく一緒に食べる』ことです。
他の形態のごはんを食べている子どもたちもミキサー食に興味津々で、「○○ちゃん、一緒にコレ食べよう!」と自分の同じメニューを一緒に食べています。